生きるための言語能力

日々

歪み

空間が歪むことでモノが出現している。物体がそこにあるには質量があり、地球では同等の重力が発生している。宇宙空間でも重力が働いているように見えるけれども、それをまだきちんと説明するのは難しいようだ。あなたがそこにいるのは、そういったことから類推するに、空間に何らかの歪があなたとなっているのだろう。ちょっと難しいので、さらにシンプルにしてみるとあなたの意見と誰かの意見はほとんど同じだとおもっていても、よくよく観察してみるとちょっと違うところが必ず見つかるね。だからあなたは唯一無二の存在としてその地位を与えられているわけだ。ところがもし、全く同じの存在が見つかってしまえばあなたは二人いることになってしまう。だから、同じであることが信頼できる仲間や同志だとか思うことを前提とする社会論は必ず破綻が起こるのはそういう原因にある。全く同じであればその瞬間にあなたのみならずあなたと思っている彼らも同時に消えてなくなるのだからね。

個性

大自然をよく観察すると、同じものは一つとして見つからない。あなたが何気なくみている木や石ころや葉っぱや花さえも、よく似ているけれども、注意深く観察してみると同じものを見つけることは不可能だね。もちろん相似形なのであなたの認識ではほとんど同じだと大きなくくりにすることはできる。細胞でさえシンプルに構成物は同じであるのに、その中身は全くもって別だからこそあなたは誰かの細胞に混じったりしないわけだね。それが何を意味しているのかというと、そういう僅かな違いという歪によってかろうじてあなたはあなたを保ち続けることができるわけだ。知らない人から見れば、同じ会社の誰かだったり、同じクラスの男の子だったり、カフェでお茶をしている女の人だったりする。そこに大きな違いがあるのかないのかさえ気にならない程度の存在としてしか認識されない。そう、個性というのはあなたが声を大にして主張しない限りなかなか存在し続けることさえ難しいものなんだ。

言葉

そうだから、記録してずっと主張するための文字が発明され、契約書や同意書なる覚書や、明文化していつでも読み返すことができるルールや法律が必要となったわけだ。それは、それほどまでにずっと主張し続けないとすぐにそのわずかな歪が消えてなくなることを意味している。誰かのものだと主張するのにもそれぐらいの面倒事が必要なわけだ。ましてやあなたがあなたであるという主張をし続けるのも同様で、いつの間にか誰かにとってはあなたがいることすら忘れられてしまうような、その他大勢となってしまうわけだ。だからこそ寂しいとか孤独とかを感じて、SNSでは誰かの失敗や有名人のスキャンダルばかりが流れるのは必然だともいえる。それがわかって適度に距離をおいて眺められるかどうか、それが現代のマナーにもなっているみたいだね。かつては文字を使えて、計算ができれば十分だったけれども、今はネットリテラシーも必要になっている。だから基本的に言葉の世界を上手に操ることができる能力はますます必要な時代となっているわけだ。けれども、それを奪っていくような巧妙な仕組みもまた仕掛けられているようだから注意したほうがいいね。