社会との折り合いをつける
学び
人生は常に学びに満ちあふれている。でもそれを自動運転にして受け取らない毎日を過ごしてしまうわけだ。リスキリングなんて言う言葉が一時もてはやさされて、どちらかというとそれは職業的な意味合いを強く帯びたものであるわけだけれども、それ以外でも気づきや学びは止まらないね。ところがそんなものなんてというあなたのスタンスがせっかくのそれらを吸収する機会を逃している。そして目を閉じ耳をふさいで何も感じないようにすることで、あらゆる刺激から身を守るように防御している。それはなんのためかというと、今更そういうことを知ったところで、心が惑わされるだけで不快に思っているからだね。せっかくの学びや気づきをそうやって遮断することで、あなたはあなたらしさをずっと保ち続けることができると勘違いしている。大いなる流れの中で、それに流されまいと岩にしがみついて抵抗しているようなものだね。だから人生はとても苦しいものになっているんだ。
アップデート
あなたは常に書き換わっていて、おそらく少し前のあなたはもはや別人なはずだ。それは科学的にも証明されているわけだし、あなたの体の中では動的均衡がそれによって保たれているね。あなたの体を構成する要素は、毎日口にする食べ物を取り入れて、古くなったものを排出することで、常に書き換わっている。体験も記憶も同じように代謝しているわけだから、少し前のあなたの要素はほとんど入れ替わることで命を永らえている。細胞やさらに小さな分子レベルではそういった化学変化を1秒たりとも止めたことはないはずなのに、あなたはずっと同じあなたでないと都合が悪いと思い込んでいる。それが自分らしさという意味合いにおいて、コロコロ変わるともはやあなたの存在自体が危うくなってしまうと勘違いしているからだね。実態は全くその逆であって、コロコロ変わって昨日のあなたはもはやここにはいないということが真実だ。だからどんどん主義主張が変わったところで何も問題はないどころか、それが通常なんだよ。
契約社会
実はそれだとあらゆることに対して契約を結んでいる社会にとっては不都合な状況になってしまうね。昨日そう思って約束したあなたはもはやどこにもいなくて、約束自体が無意味になってしまう。そうすると社会生活に様々な不都合が起きてしまうからだ。借りたお金もそのときのあなたが必ず返すよと約束したのを、今日のあなたは別人だとすれば社会自体が存続が難しくなってしまう。そうやって社会の中のあなたは、そう易易と変わってしまっては成立しなくなってしまう。だからといってあなたはずっと同じあなただと主張し続けるのもかなりムリがあるわけだ。その狭間の中で、あなたはかろうじてあなただという自我を維持しているわけだね。すなわちその社会構造でのあなたと、本来のあなたにはギャップが存在するわけだ。だからこの世は生きるのに苦しいわけだ。流れのままありのままのあなたでいることをそういう部分で阻害されてしまうからだね。それはそれとしてあなたは常にアップデートしているのは事実であるわけだし、約束は過去のあなたの伝言であってそれはそれとして忘れないようにする。それが今のところ折り合いをつけて上手に生きる術なのかもしれないね。