思考と行動

日々

知識

生まれてからずっとあなたは知識を蓄えてきた。その知識はあなたを守り、あなたを新たな世界にいざなってきたわけだ。その扉を開くたびにあなたは感動して、もっと別の世界の扉を求めている。そういう姿勢を知的好奇心と言って、一般的にはいくつになっても枯れることはないとされているね。いろんなものに興味関心を持って生まれ、その思うがままに求めることで今のあなたが形成されている。それを成長と呼んだりして、周りの大人は喜んでくれただろう。まずはそういう自らの思いだけを周りにぶつけている時期から、それだけではあなたが思う世界が訪れないという知識の鍵を手にすることで、そこに配慮するという別の道がぱっと現れたわけだ。そう、そもそも一本道でしかなかったあなたの行き先が、どんどん知識によって枝分かれして選択肢が増えてきた。そのことによって逆にどの道を選ぶのかで、今度は悩み多き人生となってしまったね。

実践

そうやって悩み多き人生へと変化したから、あなたは考える時間がどんどん長くなっているわけだ。行動する前に、それがどの道を選ぶべきか、その先に待っていることをある程度想像することが多くなると、そこでの明確な答えを見つけるだけでも大変になってきたからだね。もちろん後先考えずにとりあえずやってみるというのは、知識があるあなたからすれば無謀なだけであり、それは博打のような結果がどうなるかは神のみぞ知るという行為に等しい。故にそれは知識としては避けるべきだと知っているわけだ。できれば安全策を取り、もっと言えば失敗したとしてもリカバリーできるような道のりをあらかじめ準備しようと模索しているね。逆に言えばなにかあることやあなたの想定外のことを災いだと規定していしまっているわけだ。そうしてすべての正解は前例主義となり、誰かがほぼうまく行ったという足取りをたどることになる。それはまるで地図に載っているルートを辿るようなものと言ってもいいね。

ルートナビ

目的地までどの道を選択すれば最短で到着できるか、それを教えてくれるいわゆるナビがスマホにも搭載される時代となったね。あるいは距離よりも時間を優先したり、交通機関の利用料金が一番安くで済む方法などもすぐにあなたに提案してくれる。あなたはそこから距離か時間かコストか、どれを優先するかを選択すればいいだけだ。そこでも今度は道順の選択に悩むわけではなく、距離・時間・コストのうちどれにするかに変わってしまったわけだ。それを判断するには、やっぱりいろんなことを知っている方がいいだろうということで、そこでまた調べたり、実際に失敗したりすることで新たな知見を得ることができるわけだ。そうやってどんどんあなたが思考している時間が、もはやあなたの人生の時間だと言っても過言ではないぐらいに大きく占めるようになると、手足を動かしてジタバタする時間がほんの少しとなってしまう。本来あなたは思考するために生まれてきたのだろうか、それとも行動するためだろうか、なんていうまだ課題も生まれてしまうわけだ。でも、以前の何も知らないあなたは、手足をバタバタしてとりあえず行動するしかなかった。そして、地図には載っていない、誰も知らない道を知らず知らずのうちに切り開いていたんだよ。