絆の弊害

日々

ベテラン

この道何十年と同じ仕事に携わってきた人は少なくないね。おそらくは数十年前では、学生からある一つの会社に就職して、その会社のルールやしきたりや文化を吸収しながら、それなりに能力が認められてそれなりの地位にいる人がほとんどだろう。おそらくは50代以上の方々はそんなポジションにいるのではないかな。もちろん、だからといってそれが陳腐であるとか、価値がないとか言うつもりはない。けれども、人気商売と比べると緩やかな成長であっても許容される世界の中とも言えるね。ずっとそうしてきて、それなりに結果ができてきたのだからそれが正解だと思いこんでしまうのも無理はない。そんな人が今どきの変化の波に揉まれて、違う職場に移らざるを得なくなったときにそのことが顕在化することが多いかもしれない。あなたの常識はその場所で培われたものに過ぎず、他の場所では全く通用しなかったりして困惑するからだ。すなわち、あまりにも長く一つの場所に留まるとそれなりに弊害があって、あなたの世界観も広がるどころかかえって狭くなってしまうこともあることにようやく気づくことになるね。

内部政治

その分技術者と呼ばれる職業においては、それがグローバルスタンダードが基準となっているので、転職市場の価値はあまり変わらなかったりする。まさに手に職をつけると食いっぱぐれないというのはそういうことだ。ところが、それでさえ細かい流儀みたいなものがあるから、同じことを専門としている人の間でもやっぱりあなたが思っている常識とは違うことも多いね。部分最適があまりに進んでしまうと、一歩外に出ると苦労してしまうのはそのせいだ。コミュ力が自慢のあなたでさえ、また一から関係性を再構築することになる。だから、できれば慣れた場所でできるだけ長くいた方が楽ちんだと思って、いろんな不満を飲み込み続けているだろう。そのストレスをおそらくはいろんなことでなんとか折合いをつけている。だから、毎日がワクワクするのではなく、手慣れた仕事を無表情でやり過ごすことがあなたに与えられた人生と思うほかないね。

ドリームキラー

そうであるから、例えばあなたの苦労とは逆にジョブホッパーのようなポンポンと仕事や会社を変えて生きる存在は許せなくなる。そんなころころと転職するやつは信用ならないと採用の段階で弾くことになるだろう。そうするとどうなるかはもはや自明だね。淀んだいつメンで内輪向けの会話を続け、よそ者を排除する文化を築き上げるしかなくなるわけだ。それは自己防衛反応でもあり、烏合の衆として生きるしかない世界に閉じこもってしまう。そうすると、いつかその組織から離脱するときにはもはや絶望しか残らないことが多くなるだろう。川の流れのようにできれば淀むことなく、流れ続けていく方が結局のところ幸せな人生となるのはそういうことだね。馴れ合いで過ごし続ける時間が長くなればなるほど、それが終わったときの反動は大きくなってしまうのだからね。少しのこだわりはスパイスのように適量だと最高の演出となるけれども、多すぎるととたんに台無しになってしまうのとよく似ている。どうやらいつメンで傷の舐めあいをするのもほどほどにしておくのがいいみたいだね。