尊厳とは
ばらばら
あなたはいつも統一感を求めている。それは、ブレがなく前向きで明るい未来を見据えたすべてを指すだろう。よって夢が叶い、希望が実現する世界だ。ところがそんなちっぽけな望みすら叶わないことに失望しているわけだね。あなたを理解してくれる友人も少ないか、ほとんどいないし、あなたを支えてくれるような人にも気がつけば裏切られている。そんなクソみたいな世界を、これからも生きていかなければならないと思い込んでいるから、そりゃ心も曇って憂鬱になるね。でもそれは全くの逆であって、あなたの思う世界はすでに実現しているし、あらゆることがあなたのためだけに起こっていると言われたなら、たいそうショックだろう。にわかには信じられないのも無理はないね。だってほんの少しの望みすら踏みにじられて悔しい思いばかりしてきたあなたにとって、そんな話こそ夢のまた夢だと感じるからだ。
十人十色
それでも、信頼できる仲間が少しだけいる。もちろんそれぞれが完璧にそうなっているわけではないにしろ、本音で語り合える仲だ。もちろんすべてをわかってくれるわけではないけれども、かといって衝突だらけでもなくときに相槌を打って理解してくれているわけだ。その奇跡は稀であるからこそ素晴らしく感じていて、おそらくは唯一無二の存在としてあなたを支えてくれているね。しかしながら、ほとんどの日常に関わる人たちはそうではない。だから特に際立ってしまう傾向にあるわけだ。同じものを見て同じ感動を共感できると思うからこそ、いちいちあなたの意見に反論をしてくる同僚は面倒な存在だと感じるわけだ。意見が異なることはある意味自然なことだというのに、友人から言われるそれと、気に入らないと言われる同僚とのそれには、本質的に同じ言葉で言われたとしても感じ方が大きく異なってしまう。はてさてどこが違うのだろうね。
序列
おそらく社会性と呼ばれる人間関係の第一条件とはなにか。それは序列だろう。誰のほうがあなたより上位か下位か、その序列を即座に判断して適応する能力を身につけることが生き残るための条件だということだね。なので常にあなたがその集団の中において何番目かというセンサーが常に働いている。猿の群れに見られるそういう階層構造は、その組織の安全性にも大きく関わるようだ。いわば本能的にそうなっているとも言えるね。だからあなたも無意識的に、あなたには言われたくない、と思うシーンが増えてしまうわけだ。それはそのつもりがあるかどうかはともかくも、あなたより何らかの部分において下位であると認識していることが原因だ。すべて同列と本当に思えるシーンは少なく、おそらくは気のおけない仲間の中においても、不要な気遣いであなた自身を遜っているかもしれない。相手を上位に見ることでしか尊敬や感謝が生まれないような関係性しか築けないのは、一体どこでそうなったんだろうね。