便利さは新たな苦労を生む

日々

苦労

日々苦労しているだろうし、苦労をできれば避けたいと思っているだろう。でもそんな苦労があるからこそ、人生には彩りや豊かさが生まれるのも事実だ。なんの苦労もない世界を切望する一方で、万が一そうなればとっても刺激の少ない、すなわちつまらない日々を送ることになるだろう。現に、今や欲しいものがあればお店に出向いて、目的の品物を探し歩く必要もないわけで、おそらくはスマホから検索して在庫のあるショップから購入するだろう。以前は気になる本を探すのに、全国の大学の図書館や書店を駆けずり回ったというのにね。今は寝室でスマホをタッチするだけで、早ければ翌日に手元に届く時代だ。そんな便利さを享受しているから、あなたは常に不完全燃焼であるし、精神的な疲れはあるけれども肉体的な疲れは少なくなっている。そりゃ人生もつまらない日々になってしまうのも仕方がないわけだ。多少苦労して、手にしたものはなぜかあなたの身につくのも経験上知っているね。

便利

便利さはやがて日常になって、今では気になる本を探しにいくのに本屋さん自体が少なくなっているから、実際に手にとってみることが今度は不便になりつつある。もちろん、そんなことしなくてもネットでポチるだけで手元に届くという便利さと引き換えになっているわけだ。本屋さんもあまり売れる見込みの少ない本の在庫を抱えるのもタダではないから、売れる本だけ置くようになるのも必然だしね。それでますます実社会において、足を棒にして探し回るのは効率が悪いと思っているだろう。今や知識分野においては本を探し回るよりも、デジタルデータで検索した方が見つかる確率は数段高いわけだからね。そうやってあなたは物理的な運動をどんどん停止して、エネルギーを知的活動に割く割合が増えている。そのことによって動物本来の肉体的な疲労は少なくなっていくことを便利になったと称賛しているわけだ。

プラスマイナスゼロ

オフィスに出社することも、ある転換期によってリモートワークが増えてきた。仕事をするのに場所を選ばない職種によっては、今でもそれを継続している人もたくさんいるだろう。今までは当たり前のように毎日やっていた、朝起きて身支度して最寄りの駅まで徒歩で向かってオフィスまで移動するということが必要なくなった。それは便利であるけれども、そのせいで今まで感じなかった疲労が新たな苦労として追加された人もいるだろう。通勤という運動は、ある意味便利すぎない生活の支えになっていたことをそこで初めて知るわけだ。もちろん満員電車に毎朝揺られて、ようやくたどり着いたオフィスでなんてことのない仕事を淡々とこなすという日々は、あなたにとってはストレスであり苦労の一つだった。けれどもその一つが確かに消滅したけれども、なぜか新たな苦労がなぜか追加されるわけだ。苦労はどうやっても必ず生まれるようになっていることに気がつけば、それこそが生きる意味を知るきっかけとなるだろう。