地に足をつける
過剰
現代社会は常に多すぎることが多い。それはおそらく少ないよりも多いほうがいいという考えが根本思想だからだね。だからどれだけ持っていても邪魔にならないものを好んで増やそうとする傾向が強く現れているわけだ。情報が不足していると常に危機感を煽られているから、スマホを見ることをやめられないし、この先の不安でお金が足りなくなったら一大事だとお金を求めてやりたくない仕事を我慢しつつやっている。ややもすれば、この先の不安を解消するためだけの今しかない状態だ。だから、生きているという実感はどんどんと薄れてしまうのも当然だとも言える。今が充実していなく未来は不安で、過去は振り返るのさえ怖くなるような失敗だらけだとしたら、なんのために生きているのかという素朴な疑問を持ってしまうのも無理はない。そうやって恐怖に支配されてしまう人生が、多くの人を悩ませるようになっていくわけだ。
戦闘モード
そうすると生物としての人間の本能が目覚める。なにがあっても生き残るためにする行動や思考を発動するからだ。今やその本能からくる行動は闘争と逃走だね。生きるか死ぬかの瀬戸際に追い詰められたあなたは、そこで戦うのか逃げるのかの2択を迫られることになる。そこでなんとか凌いできたから今がある。今という実感はないのは、そうやって常に戦闘モードだから明日が計り知れない状態だからだね。今に生きろと言われたところで、常になにかに追われている身としてはそんな悠長なことを考えている余白がない。戦闘モードをオフにすればいいのはわかっているけれども、それをやめたら今や未来はないかもしれない。もうギリギリのところで正気を保っているのが関の山で、それ以上のなにかを必要とされたところで、それはこの先そういう世界が終わってから考えるよ、と思っているわけだ。
解消
そんな不安を解消するために、あなたは不必要なものばかり手に入れる羽目になる。本当にそれは必要かどうかなんて吟味する余裕を奪われているからそうなるわけだ。とにかく足りなくなったら命取りになると思わされているから、手に入れられるのであれば、過剰なほどほしいわけだ。いや、もっと正確に言えばそれには際限がなくなってしまっている。本来は何もなくてもあなたはあなたであるわけだ。けれどもそのあなたの存続が常に脅かされていると感じているから、なんとかそれを維持するための必要なものをピックアップして手にしようと必死だ。そもそも必要なものなんてそれほど多くないというのにね。そうやって常に脅かされ続けて、ビクビクしながら生きている。そこから脱出できた一部の人たちが成功者だと崇め奉られている。なぜかあなたは彼らを目指すべき目標だと思っている。でも、足元をしっかりと見つめることができれば、あなたの足はきちんと地に足がついているよ。